ヒプノワーク心理療法室では、開設時は催眠療法を中心に行っておりましたが、現在はつぎのような技法も取り入れています。クライアントさんのニーズに合わせて、最適な技法を組み合わせて施術します。セラピーで使用している主な技法を紹介します。
ヒプノワーク心理療法室には箱庭療法の設備があります。この療法は1929年に英国の小児科医ローエンフェルト(Lowenfeld,M.)が世界技法(The
World Technique)という名で発表したものを、スイス人のドラ・カルフ(D.Kalff)がユング心理学を基盤として、「砂遊び療法」(Sandplay
Therapy,Sandspiel Therapie)としてさらに発展させたものです。日本には有名な河合隼雄先生によって1965年に箱庭療法として紹介されました。
箱庭療法は言葉によるカウンセリングとは異なり、どうしても言葉でご自分を表現することが難しい方や子どもに至るまで、楽しくセラピーを進めることができます。クライアントは心理的変容のプロセスを箱庭体験を通じて体験して行くことができます。
この不思議なプロセスは誰の心にも共通して起こってくるものであり、集合的無意識とユングが名付けた世界にも直結するものです。
当方では、セッションではカウンセリングと催眠リラクゼーションに加えて、箱庭療法を行うようにしています。これまで多くの方が症状の好転を経験されています。
ヒプノワーク心理療法室では、クライアントに自律訓練法を指導させtいただき、自宅で毎日、練習していただくようにしています。自律訓練法はドイツで考案され、日本に入ってから50年以上の歴史がある定評ある自己催眠法です。自律訓練法は、次の背景公式と第1~第6公式によって構成されています。
背景公式 気持ちが落ち着いている
第1公式 手・足が重たい
第2公式 手・足が暖かい
第3公式 心臓が静かに打っている
第4公式 楽に呼吸をしている
第5公式 お腹が暖かい
第6公式 額が涼しい
一見したところ、とてもシンプルなものですが、しっかり継続して練習すると、身体と心に大きな前向きな変化が現れて来ます。たとえば、肩こりが消えたり、イライラが改善されたり、集中力が増すなど、様々な改善が起こります。
催眠に入ることが出来ないという人の場合も、自律訓練法を継続すると、次第に緊張緩和が可能となり、催眠への入りも良くなります。これによって、更にイメージを使う催眠療法などを発展的に使用することが可能となります。
自律訓練法には、他に黙想練習というイメージ療法的なものがありますが、これも集中力の向上に大きな成果をもたらします。
フォーカシングはイメージワークや催眠療法とは異なり、基本的にはイメージよりも身体の感じをとらえることを重視します。また、暗示的誘導の部分は存在しません。クライアント自らがご自分の身体から来るフェルトセンスを受け止め、問題解決の方向性を身体に聴いていく技法です。
フォーカシングの創始者であるユージン・ジェンドリンは『セラピープロセスの小さな一歩』という著作の中で次のように述べています。
「実存はからだで感じられる。したがって人はからだで感じられる複雑さに直接接近でき、[その複雑さは]潜在的には多面的であるが、この特別な意味の「気持ち」(“feeling”)としては、ひとつの気持ちとして感じられるのである。」(金剛出版.P88)
フォーカシングは身体の感覚から入って、常に身体に問いかける、要するに実存に問いかけるセラピー方法です。これはとても確かで、とても本来的なセラピーの方法です。
人はアタマで生きることも出来なければ、アタマで死ぬことも出来ない存在です。身体的感覚こそ生きているという感覚(実存感覚)であると考えるフォーカシング的セラピーは、機械文明に毒された現代人にとっては、とても自然な自分に帰るための糸口でもあると思います。
ヒプノワーク心理療法室では、催眠療法よりもフォーカシング的なセラピーによって問題解決を志向する方が適しているという場合には、フォーカシングを用いるようにしています。また、夢の内容にフォーカシングを行う、夢フォーカシングも必要に応じて行います。