前世療法を受けることは、擬似的に死を体験することでもあると思います。その意味では、程度の差こそあるかも知れませんが、臨死体験に似ています。臨死体験をした人が、その後、死を恐れなくなり、いまの人生の使命を深く痛感したり、生き方がもっと前向きに変化したりする場合があるようです。それと同じような変化が前世療法でももたらされると言えます。臨死体験の体験者に起こる変化や共通した点を以下のように指摘する研究者もいます。
①死に対する恐怖の減少
②以前よりも強くなったという感覚
③生の重要性や宿命といったものに対する特別な感覚
④神あるいは運命によって特別な恩恵を受けているという確信
⑤死後にも存在が続くという強い信念
(参照 安藤治『瞑想の精神医学』p.293、春秋社)
このような変化は、前世療法においても起こると言えますし、前世療法を受けるということは、自分の内面に目を向けることにつながります。前世というイメージを通して生と死を経験することができます。
これによって、死への恐怖がやわらぎ、生きる意味への気づきが与えらることがあります。その意味で、ホスピスなどで催眠療法が体力的に可能な方にはとても効果のあるメンタルケアの方法になると私は思います。
過去世が本当にあったものかどうかを証明することは、生きている限りできないことです。だから、前世療法は無意味だということにはなりません。
前世療法の意義は、前世イメージが本当にあったことかどうかよりも、「療法」として今の自分に気づきを与えてくれるということにあります。前世イメージを見て、そこでの人生の目的がわかり、そこで達成できたこと、できなかったこと、そして、得たもの、あるいは得ようと思っても得ることができなかったものなどを知ることで、いま、ここでのあり方への気づきを得ることが可能です。
もし、いま抱えている問題がある場合には、ほとんどの人が前世療法によって解決への糸口を与えられると思います。
私は前世療法を施術していて、いつも不思議でならないことがあります。それは前世への誘導を終えて、次の人生への出発までの中間生(バルド)において、たいていの人が出会うマスター(守護霊)によって示唆を与えられることです。しかも、その人のパーソナリティを何段か越えたような高次の言葉が投げかけられてきます。それはとても不思議なことです。
正直なところ、私がクライアントさんを前世に誘導し、あとはクライアントさんご自身で、前世イメージと守護霊との出会いのイメージによって、大きな気づきが得られると思います。
誘導するセラピストとしては、その方の抱えている問題の解決の糸口を先読みすることがとても困難な場合も多くあります。でも、クライアントご自身で気づきを得ていかれ、解決へと導かれていくのです。そこにはセラピストの恣意的な誘導はありません。これは前世療法の特徴であり、優れた点だと思います。
hw1@kounin-shinrishi.jp
〒590-0078
大阪府堺市堺区南瓦町1-19
グランビルド堺東305
TEL 072-200-3377