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 心理師ブログ 

トランス・パーソナル思想への期待     堀 剛     

 人間は精神と肉体の二つを備えた存在であるが、少し乱暴な言い方だが、心理臨床において薬物療法は肉体的側面からの働きかけであり、心理療法は精神面への直接的働きかけであると大まかに考えることもできよう。そのように考えると、とりわけ人間学的パラダイムやトランス・パーソナル心理学の視点は病からの解放に加えて、病以後の人間の生き方をも提示しうるものと思う。
 例えば、上記の二つのパラダイムに隣接するV.E.フランクルは「夜と霧」において強制収容所における人間の心理を報告しつつ、死は終わりではなく、たとえ明日で終わる命であったとしても、生きる意味が朽ちることはないと考えていた。このような視点は臨床ばかりでなく、人類の歴史の意義においても示唆を与えるものであると思う。急激に温暖化する地球、そして、経済的成長にやがてはストップをかけてでも調和をはからない限り滅亡するという危機が地球の近い将来に来るかも知れないと考えた場合、いやもうそれは来ていると言うべきかも知れない。フランクルが本当に人生に価値を見出しうるものを、物質的なものに置かなかったことは、自然破壊を続けてまで物質的発展のみを追い求めることへの警告的な示唆を含んでいないだろうか。


 また、人間性心理学としてマズロー,A. が述べた人間観も重要である。人間存在は本来成長と自己実現に向かう独自な存在だと彼は考えたが、これを、人類全体は本来的成長と自己実現に向かうべき独自な存在と言い直しても良いのではないだろうか。人間存在の成長は人類の成長であり、自己実現とは歴史における目的として読み直すことができはしまいか。これがもし妥当であるなら、人間性心理学の視点は人間個人の臨床の域を超えて、もっと類としての人類に対しても成長と自己実現を指し示す思想ともなりうると思う。


 経済的発展、歴史、人類の存在に意味があるのか、どのような発展を選択するべきか。下手をすれば破滅への悲観論すら囁かれるかも知れない現代において、物質至上主義を超えた視点から見直さねばならない。人がなぜ生きるかに加えて、人類はなぜ存続すべきかへも答えねばならないだろう。このような意味で、人間性心理学やトランス・パーソナル心理学の視点は、臨床に加えて、人はいかにあるべきかという問題に大きな示唆をもたらすと私は思う。

 

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